概要
尹錫悦
大統領は2024年12月3日夜、YTNテレビの緊急演説で「非常戒厳令」を宣言。国会は軍隊が突入を試みる中、戒厳令の解除を求める動議を可決。この戒厳令は宣言の約6時間後の翌朝に解除された。
戒厳令発令の裏で、国会敷地内の侵入の他、ソウル郊外 京畿道
果川
市の選管庁舎など関連施設には軍部隊の戒厳兵約300人が進入し、夜間当直5名の携帯電話の押収、庁舎の出入りを制限し、3時間半近く占拠した。
弾劾
訴追案の採決では、与党「国民の力」議員のほとんどが採決前に議場から退席、そのため可決に必要な議員数を下回り、訴追案は不成立。
その後14日に2回目の弾劾訴追案の採決を行った。結果、賛成204、反対85、無効8の可決ライン200を超え、大統領の権限は韓悳洙首相が代行する。憲法裁判所は180日以内に尹錫悦
大統領を罷免するかを判断し、罷免が相当と判断されれば失職し、60日以内に大統領選が行われる。
最新情報
2024年12月14日、賛成204、反対85、無効8の可決ライン200を超え、大統領としての職務を停止された。憲法裁判所は180日以内に尹錫悦
大統領を罷免するかを判断し、罷免が相当と判断されれば失職し、60日以内に大統領選が行われる。憲法裁判所の決断は盧武鉉元大統領の場合、弾劾案議決から宣告まで63日、朴槿恵元大統領の場合は91日かかっている。
時系列
12月3日
午後10時29分:
尹錫悦
大統領が午後11時からの「非常戒厳令」を宣言
午後10時30分ごろ:
戒厳令発令の裏で、ソウル郊外 京畿道
果川
市の選管庁舎など関連施設に軍部隊の戒厳兵約300人が進入
午後10時40分:
共に民主党、非常戒厳宣布に国会緊急召集
午後10時57分:
国会警備隊「国会出入管理」
午後11時0分:
国民の力、非常戒厳宣布に議員総会招集
戒厳司令官(陸軍参謀総長)が44年ぶり、民主化後初の「戒厳司令部布告令」を発表
午後11時28分:
戒厳司令部「一体政治活動禁止…すべてのマスコミと出版統制」などポゴリョン1号発令
午後11時48分:
国会敷地内に軍部隊の戒厳兵約280人が進入
12月4日
午前0時8分:
禹元植国会議長、緊急記者会見…「大統領非常戒厳宣布に国会憲法的手続きに従って対応」
午前0時35分:
禹元植国会議長、国会本会議場議長席着席
午前0時39分:
戒厳軍、国民の力党代表室ガラス窓破壊後国会本庁進入
午前0時47分:
禹元植国会議長、非常戒厳宣布対応本会議の開会宣言
午前1時0分:
国会「緊急戒厳解除要求決議案」を上程
午前1時2分:
韓国国会の本会議にて戒厳令解除要求決議案が可決
午前2時0分:
禹元植国会議長、大統領と国防部に戒厳解除通知発送及び本会議場で放送による戒厳解除宣言要求
午前4時00分:
禹元植国会議長、大統領に非常戒厳解除及び公告再度要求
午前4時30分:
尹錫悦
大統領、国務会議で戒厳解案議決
午前5時40分:
尹錫悦
大統領、戒厳解除公告
午後2時43分:
共に民主党など野党6党、尹錫悦
大統領「弾劾訴追案」を国会議案課に提出
12月5日
朝:
検察と警察が「12·3非常戒厳事態」と関連して金竜顕前国防相長官を国会国防委員会直前に免職
12月6日
12月6日:
ソウル高検検事長をトップとする特別捜査本部の立ち上げ
警察も約120人の捜査チームを構成
12月7日
午前:
尹錫悦
大統領のテレビ演説、非常戒厳宣布で混乱を引き起こしたことへ謝罪
夜:
本会議で 尹錫悦
大統領の 弾劾
訴追案の採決
保守系与党「国民の力」の議員の大半が議場から退席。訴追案は不成立。
12月8日
午前1時30分
検察と警察が「12·3非常戒厳事態」と関連して金竜顕前国防相長官を狙った召還調査、緊急逮捕、押収捜索など強制捜査を同時多発的に開始
午前7時30分
約6時間にわたった召喚調査を終えた後、金竜顕前国防相長官を緊急逮捕
12月12日
午後
共に民主党など野党6党、2回目の尹錫悦
大統領「弾劾訴追案」を国会議案課に提出
・キム・ゴンヒ特検法などに対する拒否権行使(大統領職の誠実な遂行義務違反)
・戒厳布告令の専攻の復帰(労働者の団体行動権侵害)
などを取り除き、非常戒厳令と内乱犯罪「行為」だけでその範囲を限定
12月14日
午後4時
賛成204、反対85、棄権3、無効票8。与党からは12人の造反者が出た形の賛成多数で2回目の弾劾訴追案が可決
午後6時08分
国民へ談話「私は決してあきらめない。私に向けた叱責、励ましと声援をすべて心に抱き、最後の瞬間まで国家のために最善を尽くす」と明らかにした
午後7時24分
尹大統領は職務停止となり、韓悳洙首相が大統領の権限を代行
非常戒厳特別捜査の時系列は韓国代表経済メディアによる
2回目の弾劾訴追案提出後はハンギョレ新聞社による
韓国で突如発表された戒厳令、その背景と意図
この戒厳令は、野党が国会の多数派を違法手段で獲得したと主張し、その証明を強硬手段で行う狙いがあったとみられている。
尹大統領の側近で、対北朝鮮強硬派の金国防相が戒厳令計画を主導。金氏は8月に国防相に就任後、限られた側近と計画を進めていたと韓国メディアに報じられている。また、戒厳令発表前の閣議では、首相や外相が反対意見を述べたものの、尹大統領が押し切った。
選管庁舎での軍の展開
戒厳兵は戒厳令発表直後、中央選挙管理委員会の庁舎を占拠。選挙人名簿を管理するサーバーの撮影を行っており、事前に計画されていた可能性が高いと指摘されている。
トップである委員長は、大法院(最高裁)判事経験者という司法出身であることから、司法当局が捜査に踏み切ることは難しい。したがって、不正選挙疑惑を捜査するために戒厳兵投入した可能性も浮上する。
このことについて、尹大統領の側近の金龍顕が、2024年4月の総選挙について「不正選挙疑惑を捜査するかどうか判断するため」と述べたと韓国メディアは伝えている。
今後の展望
総選挙を巡る不正疑惑は一部で陰謀論視されてきたが、尹氏らがこれを機に新たな展開を図る可能性があり、戒厳令の意図と影響について、さらに注目が集まる。
韓国大統領が有する権限
- 国軍統守権
- 条約締結批准権
- 赦免・減刑・宝くじ
- 法律案拒否権
- 国民投票付議権
- 憲法改正案発議・公布権
- 法律改正案公布権
- 予算案提出権
- 外交使節受付券
- 行政立法権
- 公務員の臨面権
- 憲法機関の任命権