【西之島】どうやってうまれた?|形成史【小笠原諸島】

概要

位置

東京都の南方約930km、父島の西約130kmにある火山島(北緯 27°14′49″ 東経 140°52′28″)で、有史の噴火活動以前の島の形状は650m×200m、面積約77,000m2、標高25mでした。中央部付近が島頂で、全体としては安山岩質(SiO2 58~60%)の平低な島です。

2018年12月時点で、西之島の面積は2.89km2、標高は160mの大きさまで成長しました*1。

環境

気候

西之島は小笠原諸島の父島と緯度的にはほぼ同じで温帯に属します。父島を基準にして考えると、熱帯と温帯のちょうど境目付近にあると考られます。父島の詳しい気候については以下からどうぞ!

地質

山体
西之島の12km西部に位置するより古い火山体
西之島を含む新しい火山体
で構成されています。

古い火山体は山体斜面に谷が刻まれており、断層(北北西-南南東方向)によって変異を受けています。一方、新しい火山体では、表面の火山活動による堆積物が曲がりくねったスランプ褶曲によるしわが見られ、谷の発達は顕著ではありません。

側火山体もいくつか見られ、それぞれに対応した磁気異常が見られます。

生物相

2019年(令和元年)12月以降の火山活動によって、生態系が維持されてきた旧西之島のすべてが溶岩や火山灰(多いところで5m)で覆われたことで、生物相がリセットされました。

環境省によって、平和25年以降の火山活動の生態系への影響を把握するため、2019年(令和元年)時点で、鳥類、昆虫、植物等の調査が実施されています。

2022年(令和4年)7月13日~15日に周辺海域で海域生物調査中心の学術調査が実施されました。

種類計70種以上の生物
底生生物44種令和3年では確認されなかったイソギンチャク類やテッポウエビ類も発見
サンゴ類や大型藻類などは確認されなかった。
棘皮動物や小型甲殻類もほとんど確認されなかった。
漂流物上の生物24種以上漂流していた軽石や人工物からの発見
潮間帯の生物カニ類が多く確認された。
貝類や藻類は令和3年と変わり確認され無くなった。

孤立した海洋島である特徴から、近隣の沿岸域からの新しい生物の流入が少なく、陸域からの栄養塩の供給が少ないこと、火山活動が要因の変色水の発生によって岩盤上の生物が定着しなかったと考えられています。そして、サンゴ類や大型藻類が定着しなかったことで、これらを生息域とする生物の加入も少ないことが考察されています。

種類
鳥類西部・北部・東部アオツラカツオドリ約10ペア、カツオドリ約150ペア、クロアジサシ約30ペア、オオアジサシ約150ペア、セグロアジサシ約300ペアの営巣
節足動物分解者となる昆虫

島外からの渡来
クロアジサシの死体から令和2年の大規模噴火後初めてトビカツオブシムシおよびヤニイロハサミムシが複数

ニセタマナヤガ1個体(植食性)植物が分布しないことから偶然飛来と考えられる。

維管束植物の存在は確認できませんでした。
令和2年の大規模噴火後の初めての独立栄養生物(藻類)が上陸候補地点の周辺調査で採取されました。

上陸の際は、島外からの外来生物の持ち込みを防止するため、海で荷物を含めた体を洗い流す「ウェットランディング」が行われています。

最近の火山活動

1973年、西之島至近の海底で有史以来噴火活動の記録がなかった西之島の活動が開始し、新しく島が形成されました。その後、新島は西之島と接続したのち大半が波浪が原因の浸食を受け、一部のみが現存しています。

1999年1月現在の新島の面積250,100m2、標高15.2m、新島からシソ輝石普通輝石安山岩、カンラン石単射輝石安山岩が採取されています。
(SiO2 58.4~58.9%、Na2O 0.41~0.42%、K2O 1.12~1.16%)

形成史

1000万年前
西之島が小笠原海溝の沈み込みが原因による火山活動によって誕生しました。

1973年:0.07㎢
この年に起きた噴火活動によって西之島が、0.07㎢→0.29㎢(1999年)に成長しました。
新島12/21までに東西550m、南北200~400m、12.1㎢、標高52mの火山島に成長
1974年6月10日に旧島と新島が結合しました。

荒波で浸食し海岸線が後退しました。

2013年:0.29㎢
11月20日
南南東500mで直径200m(100m×200m)の新島が生まれた噴火活動で、再び活動再開しました。
12月26日
新島と旧島が一体化したことが確認されました。

その後、徐々に収束していました。

2019年:2.89㎢(100㎢のEEZ拡大)
噴火活動が再び激化しました。

2020年
主な火山活動によって噴出されるものが時期によって変化しました。

~6月溶岩
7月~火山灰


火山灰が主な噴出物となり、西之島の植物や海鳥の巣埋まってしまいました。

2021年
8月15日~:噴火活動停止中です。

2023年:4.1㎢
現在も火山活動は継続されていて、変色水や噴気の発生などが確認されています。

参考文献

*1 西之島[にしのしま] Nishinoshima 気象庁

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