2025年参院選、そして近年、既存政党への不満を背景に支持を広げる参政党。しかし、その急進的な主張や不透明な党運営、幹部の言動には、極めて深刻な批判が多数寄せられています。
本記事では、公にされている情報や報道、ウェブ上で指摘されている問題を基に、参政党が抱える様々な疑惑と批判点を徹底的に検証します。
2025年参議院選挙当日にされた参政党による公職選挙法違反も議論されています。
参政党の概要
参政党は、「投票したい政党がないなら自分たちで作ろう」という理念のもと、「政治に参加する」ことを目的として設立されました。当初は「日本を舐めるな」といった強い言葉をスローガンとしていましたが、現在ではドナルド・トランプ氏の「アメリカファースト」を意識した「日本人ファースト」を掲げています。
政策の大きな特徴として、近年は以下の3つを強く打ち出しています。
- 反移民: 外国人の受け入れに反対する姿勢。
- 伝統的な家族観: 伝統的な日本の家族のあり方を重視する考え。
- 食の安全: 食品添加物や農薬などに対する懸念を訴え、食の安全を追求する政策。
一方で、2025年以前に党の大きな特徴であった反ワクチン、陰謀論、スピリチュアルといった主張は、国政政党になった後、表立ってはあまり行わなくなりました。これは、党勢拡大に伴う戦略の転換と見られています。
主な主張とそれに対する批判
参政党の政策や主張は、科学的根拠の欠如や陰謀論的な色彩が強いだけでなく、差別を助長する危険性も指摘されています。
この章で紹介する主張は主に
食と健康に関する主張
「食の安全」を強く訴え、農薬や食品添加物の危険性を主張。
- 批判的な視点: これらの主張の多くは、科学的根拠から逸脱しています。安全性は世界中の研究で確認されており、特定の主張を切り取って危険性を煽る手法は、公衆衛生への脅威となると専門家から懸念されています。
参政党:実際の主張
小麦・牛乳デマ: 「日本の粉もん文化は戦後にアメリカが作ったもの」「牛乳は体に悪い」といった、食文化や主要な食品を否定するような主張が展開されています。
メロンパンデマ: 党中心メンバーから「メロンパンを1つ食べて翌日死んだ人をたくさん見た」さらに「その害は子、孫、ひ孫の代に現れる」と、カルト宗教の常套句のような常識では考えられない発言がされました。
農薬デマ: 「日本の野菜は農薬まみれで危険、中国産の方が安全」といった極端な言説や、「100年後に根拠が出てくる」といった無責任な発言も見られます。

ジャンボタニシ農法: 深刻な農業被害をもたらす害虫ジャンボタニシを「益虫」と称して田んぼに放流し、大問題となりました。神谷代表は過去の関与を否定しましたが、自身が視察していた証拠が発見されています。
健康・医療に関する主張
新型コロナワクチンには一貫して否定的な立場を取り、「ワクチンが超過死亡の原因」といった主張を展開しています。また、参政党が伸びれば月10万円を配布する代わりに 児童手当廃止 ・医療費助成廃止 医療費の無償化(国民皆保険) 教育・保育費等の無償化 大学無償化 など「あらゆる無償化の廃止」を主張しています。
- 批判的な視点: これらの主張の多くは、科学的・医学的なコンセンサスから逸脱しています。ワクチンの有効性や安全性は世界中の研究で確認されており、特定の主張を切り取って危険性を煽る手法は、公衆衛生への脅威となると専門家から懸念されています。また、「発達障害は存在しない」といった過去の発言も、当事者や家族の人権を軽視するものとして強い批判を浴びています。
参政党:実際の主張
反ワクチン・反検査: 「コロナウイルスの存在を疑問視」「ワクチンで超過死亡が増えている」といった陰謀論を国会で展開。PCR検査そのものを否定するような主張も見られます。
奇妙な民間療法: 関係者の中には、父親に自身の尿を飲ませる「ホメオパシー的ガン治療」をブログで公開する人物もおり、その医療観には大きな疑問符がつきます。
さまざまな無償化廃止:「うちの子は元気で病院いかない。子どもの医療費無償はムダ」とし,『医療費や教育費』だけではなく『保育園の無償化』の廃止も主張しています。
排外主義・差別的言動、陰謀論
日本の歴史教育を「自虐史観」と断じ、愛国心を育む教育を訴えています。その主張は、しばしば排外主義や差別的な言動へと繋がっています。
- 批判的な視点:
- 外国人排斥: 「日本人ファースト」を掲げ、特にクルド人問題などでは過激な排斥的主張が目立ちます。代表の神谷氏は過去に「あほうだ、ばかだ、チョンだとばかにされる」といった朝鮮人に対する差別的表現を用い、厳しく批判されました。
- 支持者の過激な言動: 党を批判する人々に対し、一部の支持者がSNSで「非国民」「帰化人は祖国に帰れ」といったヘイトスピーチを行う事例が散見され、党全体のイメージを悪化させています。
複雑な社会問題を特定の「敵」の存在に帰結させる典型的な陰謀論の構造であり、明確な証拠は示されません。こうした言説は、社会の分断を煽り、建設的な議論を阻害する危険性があります。
参政党:実際の主張
- 陰謀論: 「ユダヤ・国際金融資本が世界を操っている」「岸田総理への爆弾テロはやらせ」といった陰謀論を主張。
- 人権侵害発言: 「極端な思想の公務員は洗い出して辞めさせる」など、思想・信条の自由を侵害するような危険な発言も飛び出しています。
歴史認識: 「癌は戦後にできた病気」「ハッキリ言います日本はアジア侵略なんてしてません!当時アジアには日本以外に国なんて無かったんだから」「銀座線は140年前にできた」といった、基本的な事実誤認も散見されます。
実際の主張
ジェンダー・女性軽視
日本の歴史教育を「自虐史観」と断じ、愛国心を育む教育を訴えています。その主張は、しばしば排外主義や差別的な言動へと繋がっています。
- 批判的な視点:
- ジェンダー差別: 神谷代表は「ジェンダーフリーはいらない。男は男らしく、女は女らしくでいい」と繰り返し発言。これは、個人の多様性を認めず、時代錯誤な性役割を押し付けるものだと批判されています。
- 男尊女卑思想:「女性の本来の役割は家庭を守ること」といった趣旨の発言も見られ、女性の生き方を家庭に縛り付ける男尊女卑的な思想が根底にあると指摘されています。
参政党:実際の主張
女性蔑視: 神谷宗幣『ちゃんと仕事するなら愛人がいても良い、同意のロリコン、援交、パパ活も許してあげましょう』
少子化対策:「多夫多妻制度にしよう」『専業主婦で子供3人生み育てきった人は新卒待遇の高収入で雇う制度つくります』
日本保守?ファースト?の主張
党のスローガンである「日本人ファースト」は、具体的な政策として外国人への公的支援の削減や排除となって現れます。
「出稼ぎに来ている外国人のいろんな社会保障まで日本が全部丸抱えするのは、明らかに過剰だ」(2025年7月4日、山口市内での演説)¹ 「仕事に就けなかった外国人が、万引きとかして大きな犯罪が生まれている」(2025年7月3日、都内での演説)¹
これらの発言に対し、複数の人権NGOは共同で「排外主義であり、ヘイトスピーチに他ならない」と強く非難する声明を発表。外国人への差別や偏見を煽り、社会の分断を深刻化させるとの懸念が示されています。週刊金曜日のルポルタージュは、こうした言説が生活に困窮する人々の不満の矛先を、政治ではなくマイノリティに向けさせる典型的な手法だと指摘しています。
参政党:実際の主張
私有財産の流用: 財政金融委員会ではNISAの資産で開発費用などに流用する提言も行い,参政党公式では郵政貯金を例にしています。また,参政党の憲法案では財産権の保障が削除されてもいます。
皇室・神社への無理解: 皇室に関するデマを拡散したり、靖国神社の中央参道を大勢で塞いで記念撮影をしたりと、伝統やマナーを軽視する行動が批判されています。
ロシア擁護の姿勢: ウクライナ侵攻において「ロシアにも言い分がある」とし、経済制裁の緩和やウクライナ支援の反対を主張。党関係者がロシアのプロパガンダメディアに出演するなど、親ロシア的な姿勢が顕著です。
在日米軍撤退論: 日本の安全保障の根幹を揺るがしかねない、在日米軍の撤退を主張しています。
上記以外にも、社会の常識から逸脱した数多くの問題点が指摘されています。
党運営と資金源を巡る深刻な疑惑
参政党の運営手法や資金の流れには、特に厳しい目が向けられています。
① ネットワークビジネスとの癒着疑惑
党と大手ネットワークビジネス企業アムウェイとの関係が、かねてより強く疑われています。
- 幹部の関与: 神谷代表は過去にアムウェイのトップ営業メンバーのイベントで講演した経歴があり、副代表の川裕一郎氏はアムウェイが支援するプログラムの修了生であると指摘されています。
- 手法の類似性: 党員や支持者を増やす手法が、知人を紹介して組織を拡大していくネットワークビジネス(マルチ商法)に酷似しているとの批判は根強くあります。党員勧誘によるランクアップ制度もその一例です。
- 党関係者による製品宣伝: 過去には党関係者がSNSでアムウェイ製品を宣伝していた事実もあり、癒着疑惑を深める一因となっています。
② 不透明な資金源とカルト的と評される商品販売
党の資金源については不透明さが指摘され、その集金手法はカルト的であると批判されています。
- 資金源への憶測: 短期間で国政政党となった資金力について、党は「特定の支援団体はない」と主張しますが、アムウェイや一部宗教団体との関係を疑う声は後を絶ちません。
- 高額商品の販売: 党関連で「波動米」や1本9,000円以上するシャンプーなどが販売されていることが確認されており、旧統一教会の霊感商法を彷彿とさせるとの批判があります。科学的根拠の不明な商品を高額で販売する手法は、支持者の信奉を利用した悪質な集金システムではないかと問題視されています。
参政党の現状
何が熱狂にさせている?
神谷氏の純粋な熱意: 離反した元党員でさえも、神谷氏が「日本を良くしたい」と心から願う、ピュアで熱血な人物であることは認めています。その純粋な思いが、多くの人々を引きつける一因となっています。
コロナ禍が生んだ「共感の受け皿」: コロナ禍での自粛やワクチン接種推奨といった社会の大きな変化の中で、疎外感や不安を抱える人々が生まれました。特に、ワクチン接種後に体調不良を訴えても、周囲から理解されずに苦しんでいた人々にとって、自分たちの痛みに寄り添い、共感を示してくれる参政党は、唯一無二の救いの場となりました。
「普通の人々」の拠り所: これまで社会の「普通」とされてきた価値観を持つ人々が、コロナ禍をきっかけに社会から排除されたと感じた時、その受け皿となったのが参政党でした。彼らは、自分たちと同じように「普通」で「明るい」神谷氏の言葉を信じ、強い共感を寄せたのです。
参政党の抱える課題
疑似科学・陰謀論の利用: 神谷氏が、人々を惹きつけるために、疑似科学やネットワークビジネスの手法、陰謀論を意図的に利用しているのではないかという批判です。これは、自身の理想を実現するためには手段を選ばないという「必要悪」として取り入れている可能性が示唆されています。
独裁的な運営体制: 党勢が拡大する中で、自身の意に沿わない党員を排除するなど、独裁的ともいえる運営が内部の混乱を招き、多くの離反者を生んだ事実は、党の大きな課題として残っています。
まとめ
参政党は、既存政治への不満や社会不安を巧みに捉え、支持を拡大してきました。しかしその内実を見ると、科学的根拠を欠いた主張、陰謀論の流布、排外主義や差別を助長する言動、そしてネットワークビジネスやカルトと類似する手法を用いた不透明な党運営など、数多くの深刻な問題点が浮かび上がります。
相次ぐ主要メンバーの離脱は、党の理念や運営に根本的な欠陥があることの証左とも言えるでしょう。有権者は、耳当たりの良いスローガンの裏に隠されたこれらの危険性を認識し、極めて慎重な判断を下す必要があります。
こちらのnote記事も参考になります。
hako様 参政党のデマ・奇行一覧
https://note.com/hako_com/n/n9ebcb77fd52a
桃太郎+様 『参政党のどこが駄目なのか具体的な根拠を示せ!!』←徹底解説します
https://note.com/momotro018/n/nf20d90fe6c67#18909886-665c-430b-bbf9-525429e392de
参考文献・リンク
- Tansa「参政党・神谷宗幣代表の過去19年間の発言を総ざらい 議会質問、書籍、ブログ」
- 日本経済新聞「参政党、SNS時代の熱狂と危うさ」
- 東京新聞「参政党に被差別部落の地名「四つ」と指摘された団体が抗議 神谷代表は発言認め謝罪」
- 東京新聞「「違法外国人問題」の公約ではりあう自民・国民・参政党…見え透いた「狙い」と危ぶまれる「ヘイト演説」」
SNS上の指摘や各種ウェブメディア、まとめサイトの情報を参照する場合には、情報の正確性については多角的な検証が必要ですので,各個人の判断も大事です。