【秘島】沖縄絶海の孤島|大東諸島の不思議!【形成史】

大東諸島アイキャッチ 地理

今回は沖縄の秘島とも呼ばれる大東諸島について説明していきます。

大東諸島の概要

沖縄本島から東に360km
人が住み始めてから100年とちょっとしか経っていない大自然豊かな島々。それが大東諸島です。

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地形

北大東島と南大東島は両島ともに、火山島として生まれた後、沈降する島に沿って発達したサンゴ礁が隆起した隆起環礁の島です。数1000kmものサンゴ礁が塵積って島となっているのです。

南大東島は面積30.5km2、周囲21.2km、標高75mほどしかありません。
北大東島は面積11.9km2、周囲18.3km、標高74mとひと回り小さいです。
沖大東島は面積1.19km2、周囲4.34km、標高31.1mの無人島です。

大東諸島はこれらの島々と西南西小島と南西小島で成ります。

参考:沖縄の海洋情報 第十一管区海上保安本部

大東諸島の島々は沖へ2kmほどで深水が1,000mに達します。南大東島の周囲は、大東諸島以外に400km近く他の島が存在しません。

南大東島・北大東島ともに島の海岸線は断崖絶壁です。また、太平洋上に浮かぶ島であることから波とうねりも大きく、砂浜もありません。

したがって、船での上陸の場合、世界的にも珍しいクレーンを使った方法を用いています。

また、南大東島と北大東島は大東海嶺の頂部にあたります。大東海嶺は九州パラオ海嶺との接合部である南高鵬海山から琉球海溝近郊まで連続する海嶺です。南大東島と北大東島はその大東海嶺の西部に位置し、海嶺全体は南に少し張り出した形状をしています。

海嶺の東側は東北東ー西南西方向に直線的で幅は狭い一方で、西側は幅が広く尾根から北にものびる地形的高まりも存在します。また、海嶺の南側と北側で形状が大きく異なり、南側は尾根から4000mの比高の急傾斜となっているが、北側は50~60kmの凹型の地溝が複数存在します*5。

位置

北大東島と南大東島は沖縄本島から東に約360kmの太平洋上に浮かぶ島です。

北大東島と南大東島は東京都から約1,350km、沖縄本島から約360kmの距離にある絶海の孤島です。

南大東島からおよそ南に150kmの位置にある沖大東島をいれて大東諸島と呼ばれています。

北大東島と南大東島への交通手段は、那覇からの飛行機もしくはフェリーの2通りしかありません。

飛行機は直行便だけではなく、那覇空港と各島の空港とで三角運航も行っており、2020年には新型コロナウイルスの影響で一時三角運航便のみだったこともあります。

北大東島

南大東島

小笠原諸島とほぼ同じような緯度に存在しています。また、フィリピンプレート上にあることからほとんど地震も起こらず、計測が始まってから2023年5月までに南大東島近海が震源地の地震において、震度1以上の地震は5回しか計測されていません。

参考:震度データベース検索 気象庁

南大東島近海が震源地の地震において最後に震度1以上が測定されたのは
2010年5月27日の震度1と2010年5月26日の震度4です。

また、大東諸島における震度1以上の地震は、地震観測が開始された1957年以降の63年間で33回(2023年5月現在)しかありません。プレートの境界付近における沈み込みによって地震が多発している沖縄本島や宮古・八重山地方に比べて、フィリピン海プレート上にあり琉球海溝から東に離れた大東諸島では地震が少ないのです*4。

地震大国の日本に位置しながら、地震がほとんどないことがわかります。

気候

気象庁で公表されているデータを以下に載せています。北大東島は地方気象観測システム(アメダス)、南大東島は南大東地方気象台のデータです。

北大東島の気候

北大東 平年値:気象庁

南大東島の気候

南大東 平年値:気象庁

気象庁のデータからもわかる通り、平均気温が一年を通して18℃を上回り、降水量も60mmを常に超えています。したがって、ケッペンの気候区分で両島ともに熱帯雨林気候と言えます。

梅雨の時期と台風が多くなる8月~10月に雨がたくさん降ります。冬の晴れた日には放射冷却によって10℃を下回る日もあります。

島々のなりたち

南大東島や北大東島、沖大東島のなりたちについて時系列に沿って紹介していきます。

約4,800万年前
今の沖ノ鳥島と同じ緯度「北緯20度付近」でニューギニア諸島付近の火山活動によって『島弧』として誕生しました。火山活動が落ち着くと島は沈み始めますが、サンゴ礁が堆積しながら西へ移動していきます。

沖大東島は赤道付近で沖大東海嶺の一つの高まりとして誕生し、北上していきます。

大東諸島なりたちの違い

南・北大東島と沖大東島はもともと違う場所、火山活動にて生まれました。

約4,000万年前
南大東島と北大東島が分裂しました。つまり2つの島は兄弟島ということです。

約2,500万~2,000万年前
沖大東島が1,300km北上したころ、北大東島・南大東島のある大東海嶺と沖大東海嶺がぶつかり沈み込みが停止しました*1。
その後、南·北大東島と一緒に沖大東島も西へ動いていきます。

いつ海水面下に?

海に沈んだことでドロマイト化が起き、ドロマイト質石灰岩が生まれました。このドロマイト化した年代を調べることで、海水面下になった年代を推定できます。

約550万年前
そのころの北大東島は水深100mにあり、南北方向で今の280km南の位置でドロマイト化がおきました。現在の標高が0〜30m前後の地質で確認されています。
南大東島では現在の標高が0~10mである部分でドロマイト化がおきました*2。

約500万~200万年前
地球寒冷化に伴う海水面低下によって、この期間にカルスト化しました。
北大東島におけるボーリング調査で深さ50mの位置に200万年前と550万年前の境界部分でカルスト化おこったと述べられています。

約200~160万年前
北大東島は南北方向で今の100km南の位置でドロマイト化がおきました。現在の標高が0〜74mにおける地質です*3。
南大東島では現在の標高が10~64mである部分でドロマイト化が確認されています*2。

したがって、この時期に再び海水面下に沈降したことが考察されます。

北大東島はこのような調査の結果、2400万年前から現在までに11回 海水面下への沈降を繰り返したと考察されています。

約100万年前
海溝周縁隆起帯に到達し、隆起へと転換したことで、大東諸島が海水面上に現れ陸地化しました。
現在の平均隆起速度は0.03~0.05m/kaであるため、極めて小さいとされています。

現在
7cm/年で西の琉球海溝に向かっています。

サンゴ礁の島

北大東島の最高高度である標高70mにも環礁性サンゴ石灰岩が存在しています。大東諸島は島全体がサンゴ礁を由来とする石灰岩で構成されています。

隆起したサンゴ礁

南-北大東島は数千年前は海底火山でした。その後、徐々に島自体が沈降するにしたがってサンゴ礁が発達していきました。そのサンゴ礁の高さは約2,000mにもなります。

南-北大東島はかつて海面すれすれにサンゴ礁が発達していたドーナツ型の地形でした。そして、数百年前における隆起の繰り返しによって今のような島になりました。島の人に幕(はぐ)と呼ばれる小高い丘は、島がサンゴ礁だった名残りです。島中央部の盆地はかつては海面の下にありました。

また、島の周辺部の高まりには隆起する過程で刻まれた平坦部が何段かのこされた海岸段丘となっています。

島を構成する地質

大東諸島は、赤道付近で誕生し成長を続けたサンゴ礁石灰岩である『古大東石灰岩』を基盤として、隆起に転じてから再び形成された環礁の堆積物である『新大東石灰岩』で構成されています。

サンゴ礁を起因とする石灰岩を基本とする地質であるため、地下にはたくさんの洞窟があり、鍾乳洞や地底湖が形成されています。

参考文献

*1 大東海嶺郡海域海盆の形成・堆積史 樋口 雄 柳本 裕 神田 慶太
*2 南大東島におけるカルスト化過程の一考察 法政大学文学部 漆原 和子
*3 サンゴ礁と海山 東北大学大学院理学研究科地学専攻
*4 南大東島の気候と特徴 南大東島地方気象台
*5 日本の地形7 九州・南西諸島 町田 洋 太田 陽子 河名 俊男 森脇 広 長岡 信治 東京大学出版会

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