宮島にある弥山は登山で人気な山です。そんな弥山の山頂付近にある弥山本堂や霊火堂、弥山神社は有名ですが、山頂から向かうことができる奥の院やニクイといった奥地について紹介していきます!
宮島の簡単な概要
厳島と宮島
厳島/宮島は島そのものが神と考えられており、厳島神社が海に建てられたことで有名です。
厳島と宮島の呼び方に違いがあり、どちらも同じ場所のことを指していますが、
正式な名称は国土地理院で定められている「厳島」、厳島の通称として「安芸の宮島(あきのみやじま)」、「宮島」が使われています。
「宮島」はその名の通り「お宮【ここでの意は神社=厳島神社】のある島」という意味です。
「宮島」という名称は江戸時代以降に使われはじめ、厳島神社の世界遺産登録後、より呼びやすい「宮島」が多く使われているようです。
自治体としては1889年に町制が施行されたときには「厳島町」、戦後の1950年に「宮島町」に変更されています。
宮島の位置
宮島は広島県廿日市市の瀬戸内海に浮かぶ島です。
宮島の歴史
古くは「安芸国(あきのくに)」と呼ばれていました。
景勝地としての中心は厳島神社であり、593年(推古元年)に厳島神社社殿が佐伯鞍職により創建されたといわれています。
平安時代後期以降は、厳島神社の人々への影響力の大きさや海上交通面の重要性から、たびたび歴史の表舞台に登場するようになります。
江戸時代中期には、天橋立(京都府北部)、松島(宮城県)と並ぶ、日本三景の一つに挙げられる景勝地として広く知られるようになり、日本屈指の参詣地・観光地として栄えていきました。
島の全域(周辺海域を含む)が1934年(昭和9年)に瀬戸内海国立公園に編入されたことで、自然公園法が定める特別保護区域となっています。その後、1952年(昭和27年)には国の特別史跡及び特別名勝に指定され、弥山の原始林は国の天然記念物に指定されています。
厳島神社及び弥山原生林は、1996年(平成8年)にユネスコ世界遺産に登録されました。
そしてその後、海岸の一部が2012年(平成24年)にラムサール条約に登録されました。
弥山登山ルート
弥山に登るルートとして紅葉谷コース、大聖院コース、大元コースと獅子岩展望台まで行けるロープウェーの4つが主に観光サイトなどで紹介されています。
したがって、弥山に登るためには多くの人がこれらのルートを選択して山頂を目指します。
宮島自然散策案内図も登山ルートのみ
宮島で配布されている「みやじま自然散策マップ」でも端の方に奥の院が描かれ、その先にも道が続いていますが、詳細はありません。
弥山のその先、「奥の院」、「多々良」とはどんな場所でしょうか
まずは主なルートを簡単に説明していきます。
歩くルートとロープウェー
基本的な弥山山頂までのコースを紹介していきます。
歩いて登ることができる3コースと紅葉谷公園からロープウェーに乗るコースがいろいろな観光サイトやマップで紹介されています。ルートによって距離や風景、歩きやすさなどが変わってきます。自分の体力と相談して決めたいところです。
ロープウェーを選んだとしても、終着駅の獅子岩展望台から弥山山頂まで少し歩く必要があることには注意が必要です。
紅葉谷コース
難度★★☆☆☆
約1時間半~2時間
登山ルートで一番初心者向けです。
後半にやや急な階段があります。
大聖院コース
難度★★★☆☆
約2時間程度
石段が多く、109mごとに丁石があります(山頂まで24丁)。お地蔵様や御堂が多く、途中の見晴らしが絶景です。
大元コース
難度★★★★☆
約2時間~2時間半
主に弥山の原生林を歩きます。山頂付近の分岐点から厳島合戦の古戦場跡「駒ヶ林」にも行くことも可能です。
ロープウェー
難度★☆☆☆☆
獅子岩展望台から弥山山頂まで約30分
獅子岩展望台まで登ることが可能ですが、弥山山頂までは展望台からやや歩くことになります。
かや谷駅から獅子岩駅までのロープウェーはぜひ見たい絶景ポイントの1つです!
ロープウェーの中から弥山からの瀬戸内海の風景を一望できます。
この景色を観ることができるという点でも、ロープウェーへの乗車をオススメします!
宮島林道多々良線
宮島弥山の登山ルートとしてあまり知られていないものとして多々良線があります。多々良線とはどんなルートなのか、奥の院のその先も含めて探索してみました。
弥山山頂から奥の院へ
弥山本堂や御山神社といった弥山山頂周辺のその先に奥の院があります。奥の院に行くには、厳島神社や桟橋とは逆側に少し下ることとなり、また、主要な登山ルートから外れることから参拝者数は少なくなります。
弥山山頂付近の風景です。山頂からは宮島一周、瀬戸内海を一望できます。
山頂には弥山展望休憩所もあり、一望できる瀬戸内海の風景が絶景です。
弥山山頂から仁王門を超えた先、大元コースと大聖院コースの分岐点から奥の院に向かうことができます。
標識があるので行きたいルートを選んで進みましょう。
奥の院までは分岐点からすぐの石段を下っていきます。
奥の院
奥の院コースを進むことで更に奥地に歩みを進めることができます。奥の院までは仁王門から石段を下って行く先です。
奥の院までたどり着くことが出来れば、開けた空間と建てられたお地蔵様や御堂を見ることでしょう。
平日ということもあり、他の参拝者はおらず、宮島の空気を独り占めできました。
ニクイ
奥の院の裏手からニクイ(502m)という山頂へ行くことができます。しかし、山頂への道がほとんど整備されておらず、また、その山道への入り口もかなり分かりにくいため、上級者向けの登山となります。けもの道を進むことになるので、登山が慣れていない方へオススメはできません。
目印の赤のテープが括り付けられた木を見つけられれば、山道であると気づける程度の入り口です。
急勾配や倒木によってかなり足場が不安定です。ニクイ山頂を目指すならそれなりの覚悟をもって挑みましょう。
人が歩き踏み固められたけもの道であるが、一歩踏み外せば遭難してしまう可能性アリ
ニクイまでは弥山原生林を黙々と進むことになります。足場は主要な登山ルートに比べてかなり不安定となるため、靴や服装には注意が必要です。
迷って遭難しないように、赤のテープに注視して道を外れないようにする必要があります。対策をちゃんとすれば宮島の未開拓の自然を一身に受けることができます。
ニクイ山頂は看板1つ。奥の院から山頂までの行き来で観光客は全くすれ違いませんでした。
ニクイそのものがあまり知られていないのかもしれません。
山頂までの悪路を考えると達成感はかなりあります。
完全な原生林であるため、宮島の自然を体感するには絶好の登山道と言えるでしょう。
ニクイへの登山は公式からの勧めもなく、安全とは言えないため自己責任でお願いします。しかし、登山に挑めれば他の登山客とはひと味違う宮島を体感できることに違いありません。
多々良
奥の院にある案内版から見ることができる「多々良」。
多々良・奥の院線は観光マップや看板でも途中で道が途切れているか、そもそも書かれていないことが多いです。
そんな多々良線がどのような道なのか探索してきました。
他の登山ルートとの位置関係を見てみます。
多々良線を使うと、他の登山ルートとは全く違う方向に向かっていることがわかりますね。多々良線では奥の院付近を源流とした川の横を歩きます。
階段はなく緩やかな勾配なため距離は多少長くなりますが、足への負担は少ない道です。
多々良線は舗装されている道です。
電線があり、コンクリートの道であるため車の走行も可能なようです。
全く観光客がいないため、のんびりと歩みを進めることができます。
人が立ち入らないためか、運よく角が立派な雄鹿と出会えました。
観光客が少ないことによるメリットかもしれません。
川のせせらぎ、鳥のさえずりの中、のんびりと進みます。
宮島林道多々良線を奥の院から下って行くことで、小さな集落に辿り着きます。この集落が多々良なのかもしれません。地名としての多々良と、集落名としての多々良があるのかもしれませんね。
集落周辺にはフェンスがあり、道を逸れて立ち入ることはできません。
多々良は人が立ち入ることができない自然公園のようになっているようです。テレビかラジオの音がすることから、ここには住民が住んでいるようでした。訪れる場合は迷惑がかからないように観光しましょう。
鹿がたくさんいる様子を確認できます。
さらに進むと海岸沿いの道とぶつかります。
「広島大学大学院統合生命科学研究科附属宮島自然植物実験所」という施設と「市街地」を結んでいます。
ここまでの道が宮島林道多々良線です。古い看板からも昔からある道ということがわかります。
市街地へは海沿いの道を進みます。市街地までも数km歩きます。透明なキレイな海と桜と木々の景色が最高でした。他に観光客はいません。
観光客が少なく、ゆっくりと自然を堪能したい方にオススメです。
結び
奥の院・多々良はあまり観光客が訪れない地域ですが、人が少ないからこその非現実な様子を体験できます。もし体力に自信があれば奥の院や多々良に立ち寄ってみることを勧めます!
他の人とは違う大自然を体感しませんか?